名家の子弟が集う男子寄宿舎学校、ペトルシキム・ギムナジア。 モスクワ近郊の静かな街にあるこの学校で、13歳のロディスと14歳のユリウスは、同級生たちと平穏な日々を送っていた。 夏休みの終わりに新しい友人を得て、新学年や自分たちの将来に思いを馳せる二人。 同じ頃モスクワには、隣接するエウロ自治区から不法侵入した何者かの影があった――。

少年たちが「現実」を乗り越えていく、ジュブナイルサスペンス。

不治の病に冒された孤児の少年はアヴァロン城へ引き取られ、皇帝アドルフの二本目の剣として育つこととなる。 師よりツヴァイの名を受けた彼は、再び得た「家族」の間に横たわる悲しみの過去を知るが――

冊子版には表題作『孤独のトライアド』他本作の前日譚にあたる「1+2」も収録。

アヴァロンの皇帝は己を守る剣を持つ。うら若き女帝ヒルダの剣は、燃えるような赤い髪と、緋色の名を持つ少女ルベル。 奇跡のような日々の中、ふとしたことからすれ違った心は、やがて密やかな約束を見つける――

宮廷の深窓に咲く主従の親愛を描き出す短編。

帝位継承者の証である「高貴なる菫色」を片眼に宿す幼きエリン・カスタニエは、運命による死から辛くも逃れ、皇女アーシュラに望まれてその従者となる。両眼に菫色を湛え玉座を約束された少女を生涯かけて護り続ける「剣」としての日々の始まりは、美しく儚い主君への思慕の序章でもあった──。

エウロを三百年に渡って支配するアヴァロン皇帝家の居城を舞台に愛と憎しみが交錯する宮廷劇、前編。

皇女アーシュラは弟ベネディクトの分家を皇帝に願い出る。それはお互いの心に深い傷を残すこととなり、人々は姉弟の絆が軋む音を聞いた。悲しみから病床に伏す主の夢を、エリンは複雑な思いを抱えながらも、叶えることを誓う。しかし、運命の歯車は否応なく回り、彼らを翻弄し始める──。

エウロを三百年に渡って支配するアヴァロン皇帝家の居城を舞台に愛と憎しみが交錯する宮廷劇、完結編。

「この姫のために、不幸になっても構わないか？」

皇帝アーシュラが夭折し、「残された人の城」となったアヴァロン城。皇帝付きのメイドだったリゼットは、ひとつの言葉をきっかけに、封印したはずの想いに再び囚われてしまう。

相手は、亡き主の夫君、摂政ゲオルグ。それは許されることのない夢だった──。

十二歳の誕生日を控え、養育先からアヴァロン城へ帰還した皇女マーゴット。亡き母帝アーシュラに瓜二つといわれるその姿は、人々に帝室復活を印象付けることに成功するが、しかし様々な陰謀と狂気をも誘発していく。公子ロディスへの恋心を自覚した時、皇女の運命は静かに狂い始める──。

幻影に囚われた人々の罪と赦しの宮廷劇。

皇女マーゴットは歪んだ愛に囚われたまま、アヴァロンでは四年の月日が流れていた。少しずつ壊れていく少女の心を救うことができるのは、遠く離れた地で新しい暮らしを送るロディスのみ。剣の祈りが二人を再会に導く時、皇女の時間は動き始める——。

幻影に囚われた人々の罪と赦しの宮廷劇。

ネオポリスアカデミー付属ハイスクールに通う16歳のウィリアム・レリックは、生徒会役員も務める優等生。「Ω‐ＮＥＴ閉鎖後」世代としては珍しくコンピュータの扱いにも長けた彼は、周囲に不思議がられながら、校内唯一の大規模ネットワーク利用施設「ＳｉＮＥルーム」に通い詰める日々を送っていた。

そんなある日、彼は美少女の姿をした人工知能に出会う。自らをサーチライトと名乗る彼女は、連邦政府の機密ファイルにすら易々とアクセスして見せた──。